高遠菜穂子さん
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000006085
イラクで拘束された高遠菜穂子さんへのインタビュー記事。
外国から日本への印象については、僕個人も何回か言われたことなので納得できるなぁなんて思いながら読みました。
――日本では、同じイスラム教なのに、なぜスンニ派、シーア派で対立するかというのが分かりづらい部分があります。
いや、私もそれは分かりません。ここまでくると、だいたいの戦争は、最初は思想だなんだと言っているけれども結局、そんなものはどこかへ行ってしまっているのでしょう。末端で残虐行為などを実行している兵士や民兵たちは、そんな思想などはどこかへ行ってしまっているのだと思います。
というのは本当にそう。さすがに現地にいる人はいろいろと見えるものだと思う。他にもいろいろと書かれているので、興味のある方は呼んでみてくださいな。
このインタビューは彼女の葛藤が表れていて良かったななんて思いました。文末から一部引用します。
――最後に、この4年間を包括的に振り返ってみてどうですか。
私は人が変わったと思います。イラクに行って。行く前は、もっとポジティブというか、前向きな人だったと思います。もっと面白い人だったと思う。結構、人を笑わせたりするような人間だったと思います。
それが変わりました。やはり、戦争のことなどが頭を離れなくなってしまって、引きずってしまう。いつか頭の中からスパッと戦争がなくなるのかなと考えると、一生ないだろうなとしか思えない。一生、頭の中が戦争でいっぱいで生きていくんだろうなと考えると、「楽しい」というのが持続できないですね。一瞬、10分ぐらい楽しいと、ふとわれに返るという感じです。
だから、戦争は引きずってしまう。ひと言で言うと、「最悪」。イラクを振り返る、この4年間は「最悪」以外の何ものでもないです。
――最悪なのに、やめる理由がないと……。
やめられないですよ。
――現状を知ったことを「最悪」と言っているわけではないですよね。
すべて最悪です。現状も最悪だし、今の私の精神状況も最悪。すべて最悪です。帰還米兵の3割がPTSDだと言いますが、すごくよく分かりますね。彼らはもっと凄(すさ)まじいものをやっているし、見ているし、そうなるでしょうね。すごく分かります。
――行かなければよかったと思いますか。
それは思わないですね。また行くと思います。あのとき人間の盾になるか、ならないかで、すごく悩みました。私は、イラク戦争に行くのを決断するまでに「9.11」から1年以上悩んでいます。アフガンで行こうと思っていたけれど、怖くて行けなくて、それから1年間ずっと悩んで、イラク戦争が始まって、決断するのにまた数カ月かかって……。
でも、私はファルージャの事件のときのことも、もしあのときに戻っても、あのタイミングで出たかどうかは分からないけれども、あのときと同じようなことをしたと思います。だって、緊急支援のためにわざわざ行っているから、「やっぱりやめた」というのは、普通は出てこないですよ。どうにかしようと考えますね。
人の生死が関わるアクシデントに直面すると、誰もが抱える葛藤なんじゃないか。とくに彼女は戦争に身を置いているのだから。
僕は逆に高笑いをしてしまった時に、ふと過去のことを思い出す。楽しくて笑っているのではない場合があって、なんていうのか相手を安心させるために大声を出して笑っていることがある。それは阪神大震災やボランティアや妹の闘病生活中に、少しでも相手の気持ちが明るくなればと心がけていたことで、クセになっているのね。ビートたけしがご飯を食べる時につい急いでかき込んでしまうことが、貧乏だった若い頃を表しているようで嫌だと言っていた。それに似ているのかもしれない。
イラク戦争は彼女にとってまだまだ始まったばかりで、一生かけて考えていかざるを得ないことなのだと思う。応援したい。