太陽

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銀座まで足をのばして、見てきました。間延びした場面のない、あっという間の二時間でした。
悔しいことに、僕はこの映画を史実に基づいて判断できるほどの知識を持ち合わせていません。ですが、おそらくほとんどがフィクションであり、ありえない物語なのでしょう。ある一人の人間を描いた物語です。


ソクーロフの『太陽』: たけくまメモ
↑こちらの感想は的を射ていて、多くの人は同じような思いを抱くことだと思います。
「画面から目を逸らすことのできない退屈さ」という表現は的確で良い言葉だなと思いました。というのも、この映画の前半で描こうとしているのは、終戦間際の日本で神の末裔たる天皇がいかに退屈な日々を送っているかということだからです。


侍従に身の回りの世話をされ、一日の行動も決められ退屈な毎日。物語が大きく動き始めるのは、マッカーサーに会談(と言う名の尋問)を申し入れられ、総本部へ行った時です。一通り質問に答え、帰って良いとマッカーサーに告げられた昭和天皇。帰ろうとするがドアの開け方が分からない。たどたどしい手つきでノブを回し、生まれて初めて自分でドアを開け外へ出て行く。
おそらくドアを開けて出て行くという行為は、天皇を取り囲む伝統や慣習からの逸脱を暗に示し、一人の人間としての出発を象徴しているのでしょう。この瞬間から、天皇は自らの運命を主体的に切り開いていくことになります。(ハーシーズを食すくだりは、実は重要な場面なのだと思ったり。)


その後、悩んだ天皇人間宣言へと至るのですが、素晴らしいアイデアを思いつき行動したために悲劇を生み出してしまう。「困難を成し遂げ人間になったんだ」と浮かれていた天皇を、地に突き落とすような事実が悲しいです。


全体を通してイッセー尾形の演技は軽妙で、ふとした瞬間に顔がほころんでしまいます。それゆえに、賢く道化のような天皇が哀れに思える。
非常に可笑しく悲しく素晴らしい映画です。もう一回見に行きたいな。