スナーク刈り
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1997/06
- メディア: 文庫
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ということで大好きな宮部みゆきです。
今まで題名だけで敬遠していましたが、読後に反省しました。本当に面白い。
謝るよ。姉さん。。
でもさ、なんか「スナーク狩り」って響きが格好悪いじゃないですか。何狩るのさ。
なんかいつも思うけど題名の付け方で損してる作家さんよねぇ。。
物語はいくつかの事件を軸に進みます。
自分を捨てた男への復讐を果たそうとする女とその男の妹。ある秘密を抱え行動を開始する中年男性とそれを止めようとする同僚の若者。妻へ会いに車を走らせる父親と息子。
やがて全ての事件が関わり合いながらある一点へ集束されていく。そこへの話の進め方はさすがです。
「火車」もそうですがこの時期の宮部みゆきの小説は、登場人物の内面についての描写が突出して良いなぁと感じました。
話は全体を通して一人称で語られていて、読み進めていくうちに次々と語り部は移り変わっていきます。さながらリレーのようで、それが小気味良いテンポを生んでいるのでしょう。展開の早さと同時に、語り部達の内面を豊富な表現から深く知ることが出来て、ぐいぐいと話に引き込まれるのです。
一番興味深いなと思った点は、語り部として登場していく人物達は計らずとも、自分の意志を次の語り部へと託しているのだということ。
読み終わってから初めて感じました。そのように意図して書いているのでしょうか。
全ては最後の瞬間に集束しているのだよ。明智君。
まぁ、細かく感じたことは色々とありますが、なんだろね。
それは些細なことのような気がして来た。読んでみれば分かるよ。うん。宮部みゆきの中長編では一番好きかもしれない。
以下、気になったこと。覚え書き。
- 織口さんに感情移入して涙ぐみながら読み進めたけど、最後でちょっと扱いと描写が荒くない?
- 一度ステージを降りたキャラは用済みな観が、、、まぁ意図して書いてるだろうな。それがテンポを生んでいるような気もする。主人公が変わって行くのだから、ステージ降りたらあまり描かれなくなるのもアリなのかなぁ。。
- 悪人は徹底して悪人。ちょっと構図が単純。
- 人は人を裁けるのか?とかってどっかで誰かが書いてたけど、主題はそこじゃないです。そこまでは葛藤を掘り下げられてはいない。
- 最後の付記が余計では?あれがあることで主題がぼやけたような気がする。